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フォーラム記事

Michael 水野
2024年3月19日
In 国際情勢と外交 International Affairs
身がまえる世界 2024年最大のリスク • トランプ氏、再選が現実になりつつあり、世界がみがまえています。米国に依存するNATOはバイデン政権の内にやっておこうという動きがあり、我が国も対岸の火事と言えなくなっています。 • そこで、本日は「もしトラ」になった場合のリスクをみんなで考え、我が国としてどのような対応が最善の策になるのか考えていきたいと思います。
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Michael 水野
2023年9月13日
In 世界経済 World Economy
大西康雄 (科学技術振興機構特任フェロー、SAPA法人会員・里格法律事務所顧問) Wedge ONLINE https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31407(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31407)  (3)「対外経済関係・民営企業政策の先行き不透明感の高まり」対策:前者に対しては、国務院として「外資の投資環境を一層最適化し、外国投資誘致を強化することに関する意見」を公表し、対外開放継続を明確化した。導入外資の質を向上しながら、外資に対する内国民待遇保障、投資権益保障、外資の外国籍従業員の出入国措置の改善、財政・税制面での支援強化、といった従来からの措置を再確認している。また、発展改革委員会、商務部などが在中国外資系企業代表と意見交換会を実施し、意思の疎通に努めている。  後者に対しては、党中央・国務院が「民営経済の発展・壮大化に関する意見」を公表しており、発展改革委・工業情報化部・全国工商連合会が共同記者会見でその内容の説明を行っている。 中長期的課題も解決されていない  中国政府が経済の直面する問題点を認識し、対策を講じ始めていることは評価できる。しかし、政策内容を仔細に検討すると、22年に既に打ち出されていた政策パッケージと本質的な差はない。22年の政策を実施した結果が現状だとすると、経済のこれ以上の失速を避けるためには、上記した政策だけでは不十分である。  第1の問題が需要不足であることは、消費者物価、工場出荷価格がともにマイナスを記録していることから明らかである。需給ギャップを埋めるために中央政府=財政が出動するべき段階に達していると思われる。  23年の5%成長という目標は、22年からの回復という要因を考慮すれば、追加の景気刺激策無しでも達成できるが、このまま対策を打たなければ、既に見たような景気下押し要因がさらに進行し、24年以降の成長率を4%台に下振れさせる可能性がある。アジア開発銀行、世界銀行、国際通貨基金(IMF)などが4月以降公表した成長予測は軒並み4.5~4.6%となっている。  第2の問題は、成長率の下落に加えて冒頭の表に示したような中長期的課題が顕在化していることだ。これらの課題は当面の景気下押し要因であり、かつそれへの対策を怠れば経済の長期停滞は不可避となる。一方で、たとえば格差問題については、消費需要喚起策などの中で対策をとることも可能である。当面の景気対策と中長期的課題への対応を同時に行うことができるし、そうすべきである。  対外経済分野では、欧米を中心とした諸国とのデリスキングが継続する。また、中国自身が、国家安全保障を最重視する「総合的国家安全観」を追求していることもマイナス要因だ。  技術国産化や海外との技術交流制限は、欧米も実施しているが、それが経済・技術のブロック化に行きつけば、中国経済の大きさからして世界全体が低成長に陥る恐れがある。中国も世界もそのリスクに思いを致す必要があろう。
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Michael 水野
2023年9月13日
In 世界経済 World Economy
大西康雄 (科学技術振興機構特任フェロー、SAPA法人会員・里格法律事務所顧問) Wedge ONLINE https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31407(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31407) 政府の経済対策は  以下では、当面の景気動向要因への政府の経済対策を中心に分析する。出発点は、7月24日に開催された中国共産党中央政治局会議である。  同会議のコミュニケでは、今年下半期の経済工作の重点として、①質の高い発展の着実な推進、②需要の回復・拡大、③現代化産業体系の建設加速、④改革開放の深化と「二つ」=「公有制経済維持、民間経済奨励」の堅持、⑤重要領域のリスク防止・解消、⑥民生保障の強化、を挙げている。  同会議の決定を受けて、経済政策官庁(発展改革委員会、財政部、人民銀行、国家税務総局、工業・情報化部、商務部、文化・観光部、市場監督管理総局)が次々と会議を開催し、政策を打ち出すとともに記者会見等で積極的に発信するようになった。  まず、8月にマクロ経済政策官庁である人民銀行が政策金利(ローンプライムレート)を引き下げた。引き下げは6月(1年物・5年物とも0.1%引き下げて3.55%・4.20%へ)に続くもので、今回は1年物のみ0.1%引き下げ、5年物は据え置かれた。  同行はさらに小型・零細企業や民営企業への貸出強化による支援を打ち出している。これはカウンターシクリカルな金融政策であり、資金供給を増やすことによって消費(ローンプライムレートは住宅ローンに適用される)や投資を促進する狙いがある。  次いで、財政部が地方政府特別債(地方政府向け移転支出)の実行を急ぐよう指示した。同特別債の今年の枠は2.19兆元(約43.8兆円)ある。これは、地方政府の財政難を救済するとともに地方政府が主体となっている不動産投資を下支えする意味がある。 具体的な取り組みは  マクロ経済環境の緩和に加えて個別施策が立案・公表されている。その内容は多岐に渡るが、上記した景気を左右するポイント別に整理しておこう。  (1)「消費の息切れ」対策:発展改革委員会が「消費を回復・拡大する措置に関する通知」を出した。重点は、①自動車、電子製品などの大口商品の消費促進、②サービス消費拡大、③農村消費促進、④消費施設の整備、⑤新しいタイプの消費拡大、⑥消費環境の改善、の6つである。  (2)「不動産分野に代表される投資の不振」対策:発展改革委員会が「民間投資促進政策に一層しっかり堅実に取り組み、民間投資の積極性動員に努力することに関する通知」を出した。重点は、①政策目標の明確化:各地方で民間投資が投資全体に占めるウェイトを引き上げる、②重点分野に的を絞る:国家重大プロジェクト、脆弱部分補強プロジェクト、重点産業チェーン・サプライチェーンプロジェクト、特許経営プロジェクト、を集中的に支援する、③保障メカニズムの整備:民営企業の資金難、土地等の生産要素不足の問題解決のため、各地方が支援を必要としている民間プロジェクトをリストアップし、集中的に保障する、④良好な環境整備:民間投資の届出・許可プロセスを圧縮するなど投資の前段階の効率化を図る、といったことである。 続く「失速する中国経済 政府はいかなる対策をとっているか(3)」(https://www.society-apa.com/forum/shi-jie-jing-ji-world-economy/shi-su-suruzhong-guo-jing-ji-zheng-fu-haikanarudui-ce-wototuteiruka-3)
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Michael 水野
2023年9月13日
In 世界経済 World Economy
大西康雄 (科学技術振興機構特任フェロー、SAPA法人会員・里格法律事務所顧問) Wedge ONLINE https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31407(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/31407)  中国経済の失速が続いている。2023第2四半期の国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比6.3%と一見高く見えるが、これは前年同期の成長率が0.4%だったことの反動で、前期(第1四半期)比では0.1%増と、第1四半期の前期比成長率2.2%からの減速は明らかである。  また、不動産業の不況が、堅実な経営を行っているとされていた最大手企業の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス、販売額は先に破たんした中国恒大集団をしのぐ)にまで波及し、7月の消費者物価が2年5カ月ぶりのマイナス(前年同月比-0.3%)、工業出荷価格(日本の卸売物価指数に相当)も同-4.4%となるなどデフレの徴候が現れている。  そうしたなか、中国政府の対応は依然として鈍いように感じられる。本稿では、景気の先行きを展望する材料として、政府の対策の現状について経済不調の要因と対応させながら分析・評価してみたい。 当面の景気動向  第2四半期の成長に対する需要要因別の貢献度は、消費5.32%、資本形成(投資)2.07%、純輸出(輸出マイナス輸入)-1.09%で、消費は盛り返したものの、景気を下支えしてきた投資と輸出が不調に転じている。投資減速は不動産不況、輸出減少は国際経済の減速の影響を受けたものであり、しばらく続きそうである。カウンターシクリカル(景気変動抑制的)な経済政策運用を掲げる中国政府の対応はどうであろうか。  筆者は、当面の景気動向を見るうえでのポイントは、(1)消費の息切れ、(2)不動産分野に代表される投資の不振、(3)対外経済関係・民営企業政策の先行き不透明感の高まり、にあると見ている。中国政府が説明する「三つの(景気)下押し要因」に置き換えれば、(1)需要不足、(2)供給ショック、(3)将来期待の弱さ、となり、この場合には、短期的のみならず中長期的な意味合いが含まれることになる。参考までに、後者の分類に従って当面の景気動向要因と中長期的課題の内容を下表に示す。 (出所)筆者作成 続く「失速する中国経済 政府はいかなる対策をとっているか(2)」(https://www.society-apa.com/forum/shi-jie-jing-ji-world-economy/shi-su-suruzhong-guo-jing-ji-zheng-fu-haikanarudui-ce-wototuteiruka-2)
失速する中国経済 政府はいかなる対策をとっているか(1) content media
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Michael 水野
2023年6月16日
In 国際情勢と外交 International Affairs
この書を読み終えた。6月6日に深沢氏を招いて、「破綻国家に陥るのか ミャンマー危機の行方」をテーマにシンポジウムを開催したが、読了が間に合わず本番を迎えてしまった。しかし、その余韻のまま残りのページをめくってよかった。 全421ページの大作である。ミャンマーの民主化をとりあげた書は多々あるが、断片的に著しているものが多く、私にはまだ疑問に残っていた。しかし、本書がその疑問を解決してくれ、この国が辿ってきた運命を悟った。 「ミャンマーの人たちは、覚悟を決めていたのではないだろうか。最悪の日々がまた戻ってくることを」 本書のおわりの書き出しが語られているとおり、この国が完全国家になるには遠い道のりなのだろう。民主化からクーデターまで、きちんと事実もって記録されており、現代のミャンマー通史といっても過言ではない。 権力に立ち向かう勇気ある人々に称賛したい! (読後の感想は追って掲載)
「不完全国家」ミャンマーの真実(文眞堂)深沢淳一著 content media
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Michael 水野
2023年3月30日
In 国際情勢と外交 International Affairs
外務省欧州局長・中込氏の推薦の書です。ウクライナ情勢の帰趨、拙著「河イルカ」のシナリオにも影響するので、昨日から読み始めました。 戦後の日本人は、「戦争終結」を考えることから目をそむけてきたのではないだろうか。 本書の書き出しは、そういう問いかけで始まる。確かに二度と戦争を起こさないためには、どうしたらいいか論点がそちらに多く語られている。一旦、戦争が始まってしまえば、その論点も役に立たないだろう。世界の紛争に対して理性的に収拾し、出口戦略を練ることは平和外交を謳う我が国にとっても考えるべきテーマだ。 本書は第一次世界大戦、第二次世界大戦(ヨーロッパ)、第二次世界大戦(アジア太平洋)、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争を事例に検証している。このページを使って、順次投稿していきたい。 序章「戦争終結への視角」では、紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマが取り上げられている。終結を考える上で最も重要なのは、優勢勢力側(勝ちそうな国)が「将来の危険」と「現在の犠牲」のどちらを重視するかというシーソーゲームのなかで決定を迫られるとある。 では、今のウクライナ情勢は、どっちが優勢勢力なのでしょう? 今日(30日)、ウクライナ侵攻400日となりました。
『戦争はいかに終結したか』千々和泰明著(中央公論) content media
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Michael 水野
2021年8月17日
In 国際情勢と外交 International Affairs
日本の終戦記念日が明けた16日、6000キロ離れたアフガニスタンの首都、カブールが陥落した。8月末までにアメリカ軍の完全撤退をバイデン大統領が表明したあたりから、アフガニスタンはイスラム原理主義のタリバンの手に落ちるとはわかっていた。だが、あまりにも早すぎる。 いったい、何があったのかと国際放送に目を凝らす。その時、頭をよぎったのは、私が若かったあの頃、サイゴン陥落の再現だ。でも、違う。混乱はあるが、ガニ大統領、各国大使館員の出国をみていると、いかにも準備されていたかのようだ。政府軍に賄賂、汚職が蔓延し、国軍としての士気も低かったのだろう。もはや、これまでとアメリカは匙を投げたのかもしれない。 タリバンはもともとアフガンに侵攻するソ連軍と戦い、後にロシアを牽制するためにアメリカが育てた組織だ。皮肉にも、9・11で同時多発テロを起こしたアルカイダをタリバンが支援していた。20年前とはいえ、飼い犬に噛まれたアメリカの世界戦略は、何ともチグハグであったと言わざるをえない。 さて、カブール陥落がもたらす意味について、もう少し考えてみたい。これが国際情勢の大きな転換となるかも知れない。非公式ながら、タリバンと友好関係にあるのが中国だ。もともとイスラム原理主義の勢力は中国の火薬庫である新疆とつながっており、中国にとっては複雑な相手である。しかし、中国の野心的なグローバル化事業「一帯一路」の要衝路にあるアフガニスタンは極めて重要な地域となろう。 アメリカは西太平洋に戦力を移すため、アフガニスタンから撤退する政策転換をとったともされている。安倍前首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」を後押しするためもあるだろうが、アメリカの失政が再び繰り返されるような気がしてならない。カブール陥落が今後の国際情勢にどう影響していくのか、日本の方々にもぜひ考察して欲しい。 (カブールにあるアメリカ大使館の屋上から脱出する時の市内の様子)
カブール陥落 content media
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Michael 水野
2021年6月19日
In コロナウィルス COVID-19
中国・武漢ウイルス研究所流出説の信憑性が、ここに来て急速に高まっている。英ロンドン大学のダルグリッシュ教授とノルウェーのウイルス学者のソレンセン氏が「新型コロナウイルスは実験室の操作でしか得られないユニークな痕跡を発見していた」ことが5月下旬に明らかになった。「ウイルスのスパイクに正電荷のアミノ酸が4つ並ぶ」という自然界には存在しない配列が見つかったのだが、これにより、磁石が鉄を引きつけるようにウイルスが人の細胞に結合しやすくなっていることから、人為的に感染力を高める「機能獲得研究」が行われたのではないかという主張である。 独立行政法人経済産業研究所 藤和彦 コンサルティングフェロー https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/274.html
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Michael 水野
2021年5月22日
In 国際情勢と外交 International Affairs
(この記事は2019年7月、当協会のブログに掲載されたものです)  韓国向け一部の半導体材料の輸出について、日本政府は7月4日から国内の輸出者に対し個別の許可申請を求め、審査をすることになりました。具体的には半導体やディスプレーの材料となるレジスト(感光材)、エッチングガス(フッ化水素)、フッ化ポリイミドの3品目を指し、これらが対象になる輸出は個別契約ごとに経済産業省の許可を取ることが必要になります。今回は「外国為替及び外国貿易法(外為法)*1」の観点から一連の行政手続きをチェックしてみましょう。  まず、外為法は輸出の許可等(第48条)について「国際平和と安全の維持の妨げにならないよう、特定地域向け軍事転用の恐れのある輸出について政令で定めるところにより経済産業大臣の許可を受けなければならない*2」と規定しています。その政令にはリスト規制、補完的輸出規制(キャッチオール規制)があり、外為法を根拠として輸出者はこの2つの観点から確認を行う必要があります(2002年4月導入)。  制定された当時は核開発を行う北朝鮮問題がクローズアップされ、小泉首相(当時)の電撃的な訪朝で北朝鮮は拉致を認め、生存していた5人の日本人が帰国しました。これと前後して、日本では安全保障の面から軍事転用の恐れのある輸出品の規制を強化する必要があり、政府は厳格な審査を国内の輸出業者に求めました。ただ、一律にこの規制を導入した場合、審査に90日程度かかるため、これまで輸出してきた安全保障上の問題のない取引まで支障をきたすことになります。そこで、兵器の拡散を行わないことが明白である国は上記の規制の例外となり、これら国をホワイト国*3とよんで、27か国が指定されています。つまり、この例外指定を受けた国への輸出は包括許可になり、輸出者の判断で輸出することが可能になります。  2019年6月末、韓国はアジアで唯一のホワイト国でした。韓国はOECDに加盟する先進国であり、北朝鮮政策では日韓ともに連携していく国です。しかし、経済産業省は個別輸出許可への切り替えと同時に、韓国をホワイト国から削除する意見募集(パブリックコメント)を始めました。その理由として、同省は信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、不適切な事案が発生したためとしています。  一般にマスコミでは韓国への輸出規制の強化と報道されますが、これまでの経緯を見ると、ホワイト国は個別審査を不要とする優遇措置になります。2004年に指定された韓国は、これまでその優遇措置を受けており、今回それが撤廃されたとも見受けられます。包括許可が優遇措置になるなら、個別審査への発動は規制強化というより、優遇がなくなったとも言えなくはないでしょうか。 水野 通雄(みずの みちお) *1 1950年3月31日施行。2017年5月24日改正施行 *2 原典は「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない」 *3 外為法輸出貿易管理令別表第3
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Michael 水野
2021年5月21日
In 国際情勢と外交 International Affairs
(この記事は2019年10月、当サイトブログに掲載されていたものです)  1961年、香港。ダンスホールでマナーの悪い英国水兵をたたきのめしたブルース・リーが今度は香港警察に追われる身となる。その警察も英国人だった。もう50年以上前の映画とはいえ、今の香港は宗主国であった英国がこの都市を統治する当時と変わっていないように思える。  10月4日、香港政府は行政長官の権限であらゆる規則を適用できる「緊急状況規則条例*¹」を発動した。これにより、デモ参加者が顔を隠すのを禁じる覆面禁止規則が翌日から施行された。緊急条例は立法会(議会)の手続きを経ずに規則を定める異例のもので、この条例の適用は英国統治の1967年以来のことで実に52年ぶりとなる。  緊急状況規則条例は植民地時代の1922年に制定されたもので、香港総督が公共の安全に危険が及ぶ緊急事態と判断した場合に立法局の同意なしに規制するものであった。半世紀以上前に適用された当時、世界は東西冷戦の最中であり、インドシナではベトナム戦争が起きていた。中国では文化大革命の影響が香港にもおよび、反英暴動(六七暴動)が勃発した。最初は小さな労働争議で始まったが、緊張は大規模なデモに拡大し、英国の植民地支配に反対する左翼運動の高まりに発展したのである。この時、3万人程度のデモとはいえ、当時の人口(372万人)からみて英国の統治を揺るがす大事件であったことは間違いない。  この条例には言論統制、通信規制、通商・貿易の制限など14項目の適用条項があり、その中には財産の没収まで含まれている。さらに「行政長官にとって規制の目的のために必要または適切とみなされる付随的な規則を定めることができる」と付記されている。今回の覆面禁止条項は、おそらくこれを根拠にしているのだろう。いわゆる行政の裁量権を残した条文であり、罰金5,000ドルおよび懲役2年が略式判決で課せられることになる*²。  映画の展開は、ブルース・リーが米国での出生証明書をもとにサンフランシスコに渡り、そこでいろいろな格闘技が展開されることだった。今回の香港騒動でも星条旗を掲げる者が現れ、米中首脳会談では香港問題が取り上げられるようになった。香港は昔も今も米国の影がちらつく。一国二制度として返還された香港、中国本土との共存を探る道はもう一度原点に立ち返って考える時だろう。 水野 通雄(みずの みちお) *¹ 原語は「緊急情況規例條例 Emergency Regulations Ordinance」、タイトルはTo confer on the Chief Executive in Council power to make regulations on occasions of emergency or public danger *² 電子版香港法例参照 https://www.elegislation.gov.hk/hk/cap241!en?INDEX_CS=N&pmc=0&xpid=ID_1438402882315_001&m=0&pm=1
香港の騒乱について考える content media
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Michael 水野
2021年5月17日
In コロナウィルス COVID-19
巨大製薬会社の支配によりメディアに露出できない医師達の貴重な意見💮💮💮 知ることからはじめ、意見として受け入れ、正しいかどうかは各自で判断してほしい。
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Michael 水野
2021年4月30日
In コロナウィルス COVID-19
山本悦夫  統計で当てになるのは日本を含む東アジアのコロナによる死者が他のエリア、例えば北米、南米、ヨーロッパ、イギリスに比べると30分の1に過ぎないということだけだ。他の統計は、サンプルのとり方や人為的なゆがみがあり、その上、数字の幅が小さく、恣意の余地も大きく、信を置くにはほど遠い。  ところが、年齢による死者や女性かどうか、などの死者の統計数字はよく話題になるが、人種による死者別数の話題を聞いたことがない。何故なのだろう?  麻生派の資金集めのパーティの後、「ペスト並の…」という麻生副総理の弁解めいた発言が話題になっているようだが、麻生さんの発言は本音だろう。立場上まずかったが、下流階級の私なら発言自由。麻生さんの発言の本音には賛成だ。  今、憂うべきは、経済の悪化、人心の荒み、ひいては社会崩壊だ。医療崩壊は制度をいじれば、いくらで防げる。だが社会崩壊はそうはいかない。日本の破滅だ。  前にも述べたように人類は群れで生を繋いできた。ウィルスも同じこと。テレビは、変異株、変異株と騒ぎ立て、さも怖そうなイメージを植え付けようとしているが、ウィルスは太古以来の生命の流れのルールに従っているだけのことだ。  マンボウを出そうが、緊急事態宣言を出そうが感染者数は目立って減るわけはない。ここは、それによる副作用、自殺者や企業の倒産、人心の荒廃を警戒すべきだろう。日本はヨーロッパとは違う。  WTOのグローバリズムには疑問がある。黄色人種の日本人は他の人種とは違うのだ。では日本はどうすればよいか。具体的には、早く終息宣言を出しコロナを指定伝染病の感染症2類からンフルエンザ並みの5類に指定替えしなさいということだ。  と言っても、感染症に対して無防備ではだめだ。コロナに限らず風邪やインフルエンザーに罹らないように、マスクや手洗いや消毒を徹底しよう。この騒ぎで十分に学習したはずだ。
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Michael 水野
2021年3月30日
In 世界経済 World Economy
 2028年に中国のGDPがアメリカを追い越し、世界最大の経済大国になる。これが多くの国際機関、有識者の予見として報告されています。しかし、最近ではその米中逆転がコロナ禍で早まったとの声もあります。  果たして、何年に到達するでしょうか。定量的な分析を元に、ご教示いただきたく存じます。
米中経済規模が逆転するXデーは? content media
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Michael 水野
2021年3月29日
In 国際情勢と外交 International Affairs
2月にスーチーさんが拘束されてから、ミャンマーでは全国で抗議デモが相次いでいます。軍が鎮圧して、このまま軍制に移行するのでしょうか?それとも国際社会の圧力を受けて、再びスーチーさんが解放されるのでしょうか?2021年の動向を占って下さい。
ミャンマー情勢について content media
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Michael 水野

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