米中対立が激化する中でASEANは米中双方と距離を置く「中立」姿勢を維持している。東南アジア研究所のASEAN有識者意識調査2024では、米中対立下でのASEANに対応は、2大国からの圧力に対して強靭性と一体性を高めて防御するが46.8%で最大で、米中どちらにもつかないという立場(中立)を継続するが29.1%となっており、中立を守るASEANの姿勢は支持されている。
米国と中国の選択を迫られた場合は、中国という回答が50.5%、米国が49.5%で2019年の調査開始以来初めて中国が米国を上回った。中国を選択するという回答が一番多いのはマレーシアで75.1%、続いてインドネシアが73.2%となっている。親中国家であるカンボジアは中国(45%)よりも米国(55.0%)という回答が多い。米国は2023年の61.5%から10ポイント以上減少した。減少幅が大きいのは、ラオス(29.5ポイント)、マレーシア(20.3ポイント)、インドネシア(19.5ポイント)などであり、フィリピンやベトナムは米国を選択という回答が増えている。ラオス、インドネシア、ベトナムは、一帯一路構想(BRI)から経済的メリットを受け、貿易と投資が増加したためと報告書では分析されている。マレーシア、インドネシアで米国が減少したのは、イスラエルとハマス紛争での米国のイスラエル支援へのイスラム教徒の反発があると考えられる。イスラエルのガザ攻撃は行き過ぎとの見方が、インドネシアでは77.7%、マレーシアでは64.4%と高い。中国を選択すると回答が多い国は5か国(ブルネイ、インドネシア、ラオス、マレーシア、タイ)、米国を選択するという回答が多い国はカンボジア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ベトナムである。ちなみに2023年は7か国で米国という回答が多かった。
先日、外務省アフリカ局長のお話を伺う機会がありました。彼によると、「アフリカで中国はそんなに嫌われていないんですね」という。「そんなに」ということは嫌われているという事例があり、それと比較してなんだろうと思います。「そんなに」は私なりに解釈してみると、次のようになるかな。
・日本のマスコミ報道では世界で中国は嫌われている
・中国について日本人から見た世論調査では中国は嫌われている
嫌われている基準を決める時、正確でありたいものです。主観的にならず、客観的に