東南アジア研究所のASEAN有識者アンケート調査2024年によると台湾有事による影響は、①サプライチェーンの混乱が44.2%でもっと多く、②米中両国の間で選択を迫られるが25.0%、③資金の本国送金危機が15.8%となっている。サプライチェーンの混乱への懸念はベトナムで59.0%と最も高い。資金の本国送金ができなくなることは、東南アジア地域の70万人ので稼ぎ労働者が懸念しており、海外出稼ぎの多いフィリピン(28.8%)とインドネシア(24.2%)で多い。
台湾有事にASEANがどう対応すべきかについては、①武器の使用に反対し外交手段を使うが45.1%でもっと多く、②中立姿勢が36.5%、③侵攻した国への経済制裁が9.8%である。台湾への軍事的支援は5.7%で国別にみるとフィリピンが14.9%と高くなっている。中国への支持表明は3.0%であり、国別にみるとラオスが8.0%で最多だった。紛争の平和的解決と中立はASEANの基本姿勢であり、台湾有事への対応でもこうした姿勢が反映されている。なお、この調査結果は有識者の見解であり、ASEAN各国の見解ではない。