米中対立が長期化するのは、経済覇権、技術覇権、軍事覇権を競う覇権争いが本質なためだ。宮本雄二元中国大使はトップ争いが米中対立の本質と喝破されている。中国は2000年の間の大半の期間世界の際強国、経済大国の一つ、19世紀から20世紀末までは例外期間であり、21世紀に入り中国が経済大国として台頭したのは、ノーマルな状態に戻ったことを意味する。経済発展に従い所得が上昇し、賃金などコストが高まっており、高齢化が進展し人口ボーナスが終わり、中国の成長率は漸減している。それでも日本よりははるかに高いし、米国やEUよりも高い。経済発展とともに軍備増強を続けている。科学技術への投資も強化されており、科学技術力は飛躍的に高まっている。米国が最大の競争相手であるとみなす中国はペースは落ちたが今後も強大化することは確実であり、米中競争は激化の一途をたどるだろう。
日米貿易摩擦は米国で日米開戦論がでるくらい激化し、中国人が日本人と間違えられて殺されるなどの悲劇も起きた。しかし、日本は焦点となった半導体が日米半導体協定により凋落してしまい、バブル崩壊とその後のデフレにより、日本経済は長期低迷に陥った。世界2位だったGDPは中国に抜かれ、近い将来にドイツ、そしてインド、ASEANにも抜かれることが確実である。アジアで断トツの一位だった一人当たりDPは現在6位、世界では26位となり、韓国にも抜かれると予測されている。日本は米国の経済脅威ではなくなり、日米の経済対立は解消した。
中国が日本のように半導体産業がダメになり、経済も低迷すれば米中対立も緩和されるだろう。しかし、そうした期待・希望が実現する可能性はほとんどないのではないか。半導体など先端産業は「自立自強」を長期的にはかなり実現し、不動産バブルの崩壊も可能性は小さいと中国経済の専門家(三浦有史「脱中国依存は可能か」)はみている。ニクソンが評したように「中国人は創造的で、生産的で、世界でもっとも有能な人間」だからである。中国経済に大きなダメージを与えるのは台湾侵攻と対中経済制裁であろう。中国が誰にも利益をもたらさず、大きな犠牲と被害が生じる台湾侵攻という愚行に踏み切ることがないことを強く期待する。
「中国は2000年の間の大半の期間世界の際強国、経済大国の一つ、19世紀から20世紀末までは例外期間であり、21世紀に入り中国が経済大国として台頭したのは、ノーマルな状態に戻ったことを意味する。」
非常に説得力があり、有史時代のスパンで考えると、私の考えと一致しています。投稿ありがとうございます。