RCEPは歴史的意義を持っているが、日本企業や日本経済へのメリットも大きい。RCEPの効果についての研究や試算で共通しているのは最もメリットを受けるのは日本だということだ。日本政府はRCEPのGDP押上げ効果を2.7%と試算しているが、海外の研究でも日本のGDPや輸出の増加が大きいとの結果である。FTAが効果をあげるには企業が利用しなければならない。企業が利用しなければ効果は絵に描いた餅に過ぎない。
RCEPは2022年1月に発効したが、すでに日本企業の利用が急増している。日本からの輸出におけるFTAの利用は原産地証明書発行件数で測ることができるが、RCEPの原産地証明書発行件数は2022年1月の671件から、2月3450件、3月6371件、4月6834件、5月7211件、6月9132件と増加を続けている。従来、日本のFTAで最も利用されていたのは日本とタイのFTA(日タイEPA)だが、RCEPは6月には日タイEPA(7811件)を上回って最もよく利用されるTAとなった。
日本はRCEP締結前にASEANとはFTAを結んでおり、RCEP締結により中国、韓国と初めてFTAができた。RCEPの利用が急増している理由の一つは中国、韓国とFTAができたことであろう。RCEPは中国と韓国に対する日本企業の輸出競争力を強めているといってよいだろう。
第二パラダイスの最後
上回って最もよく利用されるTAとなった。→上回って最もよく利用されるFTAとなった。