昨年は日ASEAN友好協力50周年の年だった。「援助する国・される国」という本があったが、日本とASEANの関係は援助する国される国の関係だった。ASEANのGDPは2-3年以内に日本を抜くと予想されている。日本とASEANの関係は平等で相互に協力する関係に変わりつつある。ASEANが日本より進んでいる分野の一つはデジタル化である。たとえば、ASEANではスマホのQRコードでの決済が国境を越えて可能になりつつある。たとえば、シンガポールで使っているスマホのQRコードPay Nowでそのままタイで買い物ができ、タイのPromopt Payでシンガポール買い物ができるのである。これは、ASEAN決済連結性構想ぬ基づきインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの中央銀行が2022年に決済連結性に合意したことによる。ドルや相手国通貨への両替が不要になり、買い物やホテル代、交通費だけでなく、国境を越えた送金も可能になるという。これは、ASEANの経済統合の一環として推進されているが、ASEANがデジタル化で日本より何歩も進んでいることを示す事例である。また、インドネシアではオンライン診療が進んでおり、クリニックでオンライン診療を受けると診断書が薬局に送信され薬が自宅に届くという。
日本はまずASEANと決済連結性を実現し(インドネシア、カンボジアと協力覚書を結んだ段階である)、その後他のアジアにも拡大したらどうだろうか。インバウンド消費の拡大を促進することは間違いないだろう。
3月15日付けの報道(日経新聞)によると、日本とASEANは2025年をめどにQRコード決済を相互に可能にするべく協議を始めたとのこと。中国はすでにカンボジアとの間でQRコードの相互決済を始めている。ASEANや中国に遅れていたが、一歩前進であり、インバウンド観光客の利便性も増すだろう。将来は韓国や中国との間でも実現すべきだ。