いじめというべき内容の米国の対ASEAN貿易協定
タイなどASEAN5か国と米国は10月に貿易協定に合意した。米国は8月に発表した相互関税を課税しているが、ASEAN側の合意した次のような内容が規定されている。まず、ASEAN5か国は米国品に対する関税を撤廃(全廃あるいはほぼ全廃)する。次に非関税障壁を撤廃する。たとえば、米国の自動車の安全基準や環境基準、食品の衛生基準を受け入れる。米国のIT企業に対する規制を撤廃・緩和、米国企業の知的財産の保護強化、米国の農産物、航空機、エネルギーの多額の輸入などである。加えて、米国が懸念をもつ国と貿易協定をASEAN側が結ぶとこの協定を破棄できる(4月発表の48%など高率の相互関税をかける)などの規定もある。
貿易協定など国際協定は相互主義に基づき双方に利益がある互恵主義により交渉締結されるべきである。しかし、今回の協定は米国にのみ有利な一方的な内容であり、不平等条約である。また、貿易協定などは発展途上国の経済発展を支援するために発展途上国に対しては有利な内容を盛り込むのが通例だった。しかし、今回の貿易協定は全く逆の内容である。
ASEANで経済規模が最大のインドネシアでも米国の経済規模の20分の1であり、ベトナムは60分の1,カンボジアに至っては600分の1に過ぎない。こうなると圧倒的な国力の差を背景にした「いじめ」と言ってよい。こうした交渉スタイルが賞賛される米国の現状は嘆かわしいが、ルールや理念、理想ではなく、ごり押しが国際交渉の主流にならないようにするためにルールに基づく経済、貿易秩序を維持、強化すべく日本はASEANやEUなど有志国と協力を強化すべきである。

一人当たりのGDPで考えたら、アジアの勃興は、侮れないのでは?海外にいて日本は相対に貧しくなったように思います。