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世界経済 World Economy

公開·7名のメンバー

石川 幸一
石川 幸一

ASEANの域内貿易比率が低下

 ASEANの域内貿易は2015年の5350億ドルから2024年に8228億ドルに53.8%増加したが、域内貿易比率は23.5%から2024年に21.4%に低下した。域内貿易比率が低下した理由は中国との貿易の増加である。対中貿易は3630億ドルから7220億ドルに倍増し、中国のシェアは15.4%から20.1%に増加した。ASEAN域内貿易比率は対中貿易比率を僅か1.3%上回っている状況だ。輸出では域内貿易比率が22.5%、対中貿易比率は14.9%だが、輸入では域内貿易比率20.3%に対し対中貿易比率は25.4%となっている。ASEANは2023年から中国の最大の輸出先となっており、中国とASEANの間で分厚いサプライチェーンが形成されていることが分かる。

 ASEANの国別にみるとASEANで第2位の貿易大国ベトナムで域内貿易比率が10.7%と低いことが域内貿易比率を押し下げている。ちなみに貿易額首位のシンガポールは域内貿易比率が25%、3位のマレーシアは26.5%だ。

域内貿易比率の低下をとりあげてASEANの経済統合が失敗との見方がある。しかし、ASEAN経済共同体ではASEAN域外とのFTA締結とグローバルなサプライチェーンへの参加が目標となっている。ASEAN域外との貿易の拡大も目標なのである。ASEANは中国を含むアジアの主要国と6つのFTAを締結しており、RCEPにも参加している。ASEANのRCEP参加国との貿易シェアは輸出が50.5%、輸入が67.1%とEUの域内貿易比率(輸出59.5%、輸入60.2%)に見劣りしない。

ASEANの経済統合における域内貿易比率の評価は総合的に行うべきである。

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石川 幸一
石川 幸一

ASEANのGDP:2026年に日本を抜くか

ASEANの名目ドル表示GDPは2016年の2兆5817億ドルから2024年に3兆8057億ドルに増加した。2016年にASEANのGDPは日本の56.4%だったが2024年には97.7%に達した。2016年はASEAN経済共同体(AEC)2025の建設が始まった年でありAEC2025の9年間でASEANのGDPはほぼ日本と並んだことになる。IMFはASEANのGDPは2027年に日本を抜くと予測したが、2026年に抜く可能性が大きい。

 著名な経済学者クズネッツは世界には4種類の国がある。先進国、後進国、(先進国から後進国に衰退した)アルゼンチン、(後進国から先進国に発展した)日本との述べた。この名言は今や昔の話になってしまった。

世界で2位だった一人当たりGDPは世界で30位となり、東アジアでもシンガポールは日本の3倍だし、香港、ブルネイそして台湾、韓国にも抜かれてしまった。産業をみても世界トップだった電気電子産業は見る影もないしEVで出遅れた自動車はたとえばタイではシェアを2割落としている。

 現政権には、インフレ高進と国債価格下落というアルゼンチンの辿った道を歩まないことを強く望むとともに成長戦略の実施を期待したい。

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石川 幸一
石川 幸一

中国に弱腰のトランプ

 ASEANに対して威圧的な交渉を行ったトランプ政権は中国に対しては全く弱腰である。中国に対する相互関税は34%から125%に引き上げられ合成麻薬関連の20%を加えると145%だった。しかし5月12日に115%引き下げ30%となった。さらに11月に合成麻薬フェンタニル関連の追加関税が10%に引き下げられ対中追加関税は20%となった。これはベトナムに対する相互関税20%と同じである。ベトナムなどASEANは対米関税撤廃や米国産品の大量購入など厳しい条件が課されたが中国にはそうした条件はない。

レアアースの輸出規制で脅かされ、腰が引けてしまったトランプは文字通りTACO(トランプはいつもびびる)である。中国に対する弱腰とASEANに対する弱いものいじめという対照的な外交は、理念・哲学や戦略がなく、短期的損得と相手の力を判断してのディールによる外交が原因だ。ASEANなど途上国の米国に対する信頼は失墜したといえる。


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石川 幸一
石川 幸一

いじめというべき内容の米国の対ASEAN貿易協定

タイなどASEAN5か国と米国は10月に貿易協定に合意した。米国は8月に発表した相互関税を課税しているが、ASEAN側の合意した次のような内容が規定されている。まず、ASEAN5か国は米国品に対する関税を撤廃(全廃あるいはほぼ全廃)する。次に非関税障壁を撤廃する。たとえば、米国の自動車の安全基準や環境基準、食品の衛生基準を受け入れる。米国のIT企業に対する規制を撤廃・緩和、米国企業の知的財産の保護強化、米国の農産物、航空機、エネルギーの多額の輸入などである。加えて、米国が懸念をもつ国と貿易協定をASEAN側が結ぶとこの協定を破棄できる(4月発表の48%など高率の相互関税をかける)などの規定もある。

 貿易協定など国際協定は相互主義に基づき双方に利益がある互恵主義により交渉締結されるべきである。しかし、今回の協定は米国にのみ有利な一方的な内容であり、不平等条約である。また、貿易協定などは発展途上国の経済発展を支援するために発展途上国に対しては有利な内容を盛り込むのが通例だった。しかし、今回の貿易協定は全く逆の内容である。

 ASEANで経済規模が最大のインドネシアでも米国の経済規模の20分の1であり、ベトナムは60分の1,カンボジアに至っては600分の1に過ぎない。こうなると圧倒的な国力の差を背景にした「いじめ」と言ってよい。こうした交渉スタイルが賞賛される米国の現状は嘆かわしいが、ルールや理念、理想ではなく、ごり押しが国際交渉の主流にならないようにするためにルールに基づく経済、貿易秩序を維持、強化すべく日本はASEANやEUなど有志国と協力を強化すべきである。


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Michael 水野
Michael 水野
Dec 07, 2025

一人当たりのGDPで考えたら、アジアの勃興は、侮れないのでは?海外にいて日本は相対に貧しくなったように思います。

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