日本がインドネシアと貿易する時の決済通貨はドルであり、日本の外貨準備はドルである。自国以外の貿易で使われ、外貨準備として利用される通貨を基軸通貨という。第2次大戦後現在に至るまで4基軸通貨はドルであり、米国は基軸通貨国である。ドルは世界で広く使われるため、米国はドルを世界に供給する役割があり、そのため貿易赤字を計上する必要がある。基軸通貨国は自国通貨(ドル)で外国産品を購入でき、為替リスクから自由という特権がある。米国は貿易赤字を出しているが、特権を享受し大きな利益を得ているのである。
トランプ関税の目的の一つは貿易赤字の解消であり、実現すれば(難しいだろうが)基軸通貨国の役割の放棄につながる。トランプ大統領はBRICSがBRICS通貨を作りドル離れをするのであれば100%の関税を課すと述べた。自らはドルの基軸通貨としての役割を放棄するような関税政策をとっているのであり、全く矛盾している。トランプ政権の政権は混乱をきたしているが、基軸通貨ドルの役割を無視した政策もその一例である。