日本の科学技術力の低下が懸念されている一方で中国の科学技術力は大きな発展の可能性がある。倉澤治雄氏によると、中国の研究開発費は2020年に2兆4390億元(役41兆円)に達し米国を急追している(注)。研究者数は200万人を超え米国に50万人の差をつけている。科学技術論文数は67万件(2020年)で米国に20万の差をつけダントツの世界一である。日本は10万1000件だ。被引用度上位1%の論文著者数は935人で米国に次いで世界2位であり、質でも世界でトップクラスだ。倉澤氏は中国からノーベル賞を含め世界のイノベーションをけん引する研究者や研究成果が中国から生まれることは容易に想像されると評している。
大学のランキングでも中国の台頭は顕著だ。タイムズ・ハイヤー・エデュケーションズのランキングではアジアのトップ大学は清華大学、第2位は北京大学で2015年までトップだった東京大学は5位に落ちた。中国の大学は復旦大学、浙江大学、上海交通大学など10校が30位にランクインしている。日本の大学は東大以外には京都大学が10位に入っているのみだ。米国は中国が世界トップクラスの科学技術力を持つことを恐れて、先端半導体をはじめ新興技術分野でデカップリングを進め、中国は自立自強政策を強力に推進している。先端半導体分野ではまだ成果は表れていないが、中国の科学技術力の発展可能性をみると中長期的には中国の力は侮れないことは明らかである。それにしてもこの10年間の日本の凋落ぶりは残念である。将来は、観光とおもてなしだけの国になってしまうのだろうか。
注 倉澤治雄「科学技術分野での米中対立の構造を読む」、大西康雄編『中国の双循環(二重循環)戦略と産業・技術政策-アジアへの影響と対応』、アジア太平洋センター、科学技術振興機構、2022年。
事例として、排気ガス規制は自動車メーカーの環境技術の進化に貢献しているのですね。これをトランプ政権は反故にしたから米国の技術革新が止まってしまったとも考えられます。半導体の輸出規制となれば中国は代替製品の開発を進め、返って強くなるというシナリオです。
日本で最初に有人飛行となった空飛ぶ自動車は中国製とメディアで報じられました。見学していた日本の子供たちが感動していましたが、私は別の面で日本の凋落を感じます。
そうなんですよ!コロナ前の5年前から小職も気づきはじめ、デジタル面で中国の進化は現地で痛惜に感じていました。ドローンは中国が最初に発明しており、5Gで中国が特許独占し、EVでも凌駕しています。まだ、日本の消費者は中国ブランドを信用していないのですが、トヨタ、日産、ホンダの技術者は中国に遅れをとっていると自覚し始めています。なにせ、バッテリーの航続距離がすごく長いのですね。
今頃、アメリカはデカップリングを騒いでいるようですが、逆に我々が中国の技術を吸収できなくなるのではと危惧しています。
そんなこともあって、人類にとっての進化はどの体制が有利なのだろうか考え始めています。資本主義が有利なのだろうとは思いますが、大衆迎合に陥りやすい民主主義はどうかとも思う。国際競争の現実をみた上で、みなさんの意見を聞きたいなと思います。