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世界経済 World Economy

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AOYAMA Hideaki
AOYAMA Hideaki

AI競争の焦点は「性能」から「利益の流れ」へ

2026年6月、中国語圏の金融情報メディアである格隆匯が、人工知能関連産業の利益分配図を発表した。格隆匯は、中国本土、香港、米国市場などを対象に、企業情報、株式市場、産業動向を図表や解説で発信する媒体である。今回の図も、厳密な学術統計というより、資本市場の視点から、人工知能関連産業の利益がどこに流れているかを示した資料として読むべきである。

同図によれば、2026年に世界の人工知能関連資産が生み出す利益は約6370億ドルに達し、そのうち米国に3140億ドル、韓国に2230億ドル、台湾に470億ドル、PRCに260億ドルが流れるとされる。数字の扱いには注意が必要である。人工知能が生んだ利益を、半導体、クラウド、基礎モデル、ソフトウェア、応用サービスのどこまでに含めるかは簡単ではない。だが、この図が示す方向性は興味深い。現在の競争で大きな利益を得ているのは、必ずしも対話型サービスや文章生成サービスを提供する企業だけではない。画像処理半導体、HBM、先端半導体、クラウド基盤など、人工知能を動かすために必要な分野に利益が厚く流れている。

この点で、韓国の位置は重要である。韓国経済は世界全体に占める規模は大きくはないが、関連産業での利益では非常に大きな比率を占めている。これは韓国社会全体が人工知能の利用で突出しているというより、サムスン電子やSKハイニックスがHBMなどの主要部材で強い立場にあるためである。台湾も同様に、TSMCを中心とする先端製造能力によって、この時代に欠かせない役割を担っている。利益は、華やかなサービス企業だけでなく、製造、部材、装置、メモリの層にも大きく流れている。

一方、PRCについては、別の姿が見える。Z.aiが発表したGLM-5.2は、長文処理、コード生成、自律的な作業支援に対応する公開型の基礎モデルとして注目を集めた。海外メディアでも、同モデルはシリコンバレーの技術者や企業関係者から一定の評価を受けている。DeepSeek以後、中国発の基礎モデルが再び国際的な話題となったことは、中国の存在感が一時的なものではないことを示している。

ただし、中国の意味は「米国に追いついたかどうか」だけでは測れない。中国は、公開化、低価格化、国内導入、産業現場への組み込みを通じて、人工知能を一部巨大企業の閉鎖的サービスではなく、より広い産業の土台へと変えようとしている。製造業、行政サービス、金融、教育、越境電子商取引、ロボット、低空経済、産業用ソフトウェアなど、中国の主戦場は現場に近いところにある。

ここに、米中競争の違いがある。米国は、半導体、クラウド、非公開型モデル、開発者向けサービスを結びつけ、上位の料金体系を握っている。これに対し、中国は、公開型モデルを低コストで普及させ、各産業に組み込む方向へ進んでいる。米国が「基盤を握って使用料を取る形」だとすれば、中国は「産業の内部に入り込む形」といえる。前者は高い単価で利益を回収し、後者は広い応用範囲で社会全体の効率を上げようとする。

中国には課題は残る。基礎モデルの性能が上がっても、利益の大部分が半導体、HBM、先端製造、クラウド基盤に流れる構造が続くなら、PRCが受け取る直接利益は限られる。公開型モデルは普及力を持つ反面、開発企業そのものの高収益化にはつながりにくい。強いモデルを作るだけでなく、それを産業の中に深く入れ、計算基盤、メモリ、先端パッケージング、産業用ソフトウェア、ロボット実装などの分野で利益を回収する仕組みが必要になる。

GLM-5.2の登場と利益分配図を重ねて見ると、現在の競争は単なる技術競争ではない。基礎モデル、計算資源、半導体製造、メモリ供給、クラウド、産業応用、利益配分がつながった総合的な競争である。勝負は性能表だけでは決まらない。どの産業に入り込み、誰がコストを負担し、誰が利益を回収するのか。その利益の流れこそ、これからの競争を読む鍵になろう。

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