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中国で「生態環境観測条例」公布

※本稿において、[ ]は直前の単語の中国語の原文を意味し、初出にのみ付した。



 中華人民共和国(以下「中国」といいます)では、国務院(日本でいう「内閣」に相当)が「生態環境観測条例[生態環境監測条例]」を2025年10月31日に発布し、2026年1月1日から施行する予定ということです(国令第820号)。

 この生態環境観測条例は、生態環境モニタリング活動を規範化して、生態環境モニタリング能力と水準を向上させ、生態環境モニタリングデータの品質を保証した上で、生態文明と美しい中国の建設を支え、経済社会の高品質な発展に奉仕する上で生態環境モニタリングが果たす重要な役割をより良く発揮させるために制定されたとされています。

 要するに、ひと昔前の中国は、環境汚染大国として有名だったものの(注1)、その後、中国の環境問題は劇的に改善したとされており(注2)、今度はさらに生態環境モニタリングに法的根拠を与えようということです。かつての環境汚染がひどかった中国では、賄賂などをもらった上で環境問題がもみ消されてきたことなどが指摘されています(注3)。

 しかし、生態環境測定条例第41条は公共モニタリングのデータに虚偽記載をした場合、法により処分とすると規定されています。つまり、少なくとも、法律上生態環境モニタリングの成果につき虚偽記載をすることができなくなります。しかも、単なる環境モニタリングではなく、「生態環境」モニタリングであり、モニタリングした場所の単なる環境ではなく、自然の生き物などにどのような影響があるかにつきモニタリングがされるわけで、その基準もかなり明確なものと言えます。

 これから中国の環境統計や環境問題にはどのような影響があるのか、中国の環境問題は環境ビジネスとしても、また社会問題としても大きな注目を集めています。

 

〈注〉

(1) 高井潔司=藤野彰[ほか](編著)『現代中国を知るための50章』(第3版)明石書店、2008年、191頁。

(2) 中国研究所(編)『中国年鑑2022』明石書店、2022年、272頁。

(3)鳴霞「公害大国・中国 これでオリンピックができるのか」『誰も報じない中国の真実(撃論MOOK OAK MOOK 180)』オークラ出版、2007年、56頁。

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