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中国における苗木の権利に典型事例

 『人民法院報』2026年10月15日付1面および3面に「2026年全国食糧安全週間:人民法院における植物新品種保護に関する典型的事例(2026年全国粮食安全宣伝周人民法院植物新品種保護典型案例)」という記事が掲載になりました。これによれば、最高人民法院は、全国食糧安全週間に、植物の新品種保護のための典型事例を5件発布したとのことです。今回は、このうちの1件を見ていきましょう。

 なお、中国では、裁判結果は案例と呼ばれ、その事案のみに裁判結果の効果が生じるとされています。つまり、類似する別の案件があったとしても、その全てで異なる結論が出ても問題ない、案例は他の事案に対し法解釈を示すものではないということです。しかし、それだと類似する事案が複数生じた場合に、不公平感が生じるので、最近の中国は「典型案例」という案例を公開しているわけです。公開しているだけで、「典型案例」を参照しろとまでは当局は述べていないため、発布された典型案例もただの案例であることには変わりはありません。しかし、典型案例として発布された案例は各裁判官も必ず読んでいるため、類似する事例が発生した場合、参考にされる、似た結論が出る可能性は高いものになっています。

 

【事例】スペインの植物企業は、ブルーベリーの品種「A36」に植物新品種権の権利者であり、原告甲協会は、中国国内での「A36」のライセンス保有者で、自己の名義で権利行使を行う権限を付与されていた。そして、中国内にある被告・農場乙ではブルーベリー「スペイン42」の苗木の宣伝・販売が行われており、甲協会は、公証人の立ち合いの下、乙から苗木を購入し、「A36」の権利侵害の可能性が極めて高いことを確認した。

 そこで、甲協会は、農場乙に対し、許諾を得ていないことを知りながら侵害の疑いのあるブルーベリーの苗木を生産・増殖・販売を行っており、侵害の故意もあり、経済的損失の賠償を求めるとして人民法院(裁判所)に提訴した。

 

 これに対し、人民法院は、農場乙に対する侵害の故意を認め、経済的損失の賠償として14万4000元の支払いを命じました。農場乙は、「A36」以外にも、いろいろなブルーベリーを無許可で栽培しており、侵害の故意があることが濃厚だったためです。

 この事例については、種苗産業における知的財産権を厳格かつ平等に保護するという中国の司法の立場を明確に示しているとの理由で典型事例に選ばれたとされています。

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