米国が中国との経済覇権争いの中でサプライチェーンの強靭化(安全化)で進めているのがフレンドショアリングだ。同盟国や友好国など信頼できる国(フレンド)から部品や技術を調達し、あるいは輸出するという戦略である。これは、脱中国依存である。一方、中国は半導体など重要製品や技術は自国で開発し国産化するという自立自強戦略を進めている。これは脱米国といってもよい。半導体の国産化率は依然として低く、自立自強戦略はうまく行っていないといってよい。
サプライチェーンは生産コストやインフラ整備状況などを合理的に判断して企業が構築した生産ネットワークである。そして、サプライチェーンはマクロ的にみれば概ね比較優位の原理に則って形成されている。フレンドショアリングにしても自立自強にしても企業の合理的な判断の結果ではなく、比較優位の原理に則ていないと言ってよい。経済安全保障の観点からこうした政策は合理化されているが、コスト増を招くことは否定できない。
脱中国については、データに基づく堅実かつ冷静な分析で定評のある三浦有史氏の新著(脱中国依存は可能か)によると脱中国依存は非現実的である。フレンドショアリングは全面的な脱中国ではなく、先端半導体など先端・新興技術などを対象としており、実施は可能であり、米国は22年10月の商業省の決定で14ナノ以下の半導体などを対象に中国への輸出禁止措置を実施している。
自立自強戦略を実現するには、中国はまだ新しい技術やノウハウなどを外国から入手しなければならない。外国企業の買収や強制的技術移転あるいはサイバーテロなどでこうした新興技術を導入あるいは取得しようとしてきたが、米国、EUそして日本も対抗手段を講じるようになっている。中国の科学や技術の面の実力は目覚ましく向上しており、自立自強が実現するかどうかは長期的にみるべきであろう。
フレンドショアリング、新しい用語、勉強になります。ありがとうございます😊