欧米に比べると日本のコロナ感染者、死者はけた違いに少ない。アジアではどうだろうか。
5月11日時点の日本の感染者は71万人、死者は1万2152人だ。アジアではインドが感染爆発を起こし、インドネシアとフィリピンが多いが、その他の国は少ない。少ない順でみると、ラオス感染者1782人、死者2人(以下同じ)、ニュージーランド2668人、26人、台湾3862人、17人、ベトナム5119人、42人、カンボジア2万4645人、167人、オーストラリア3万5人、910人となっている。
人口100万人当たりの死者は日本は96人だが、ラオスは0.3人、ベトナムは0.4人、台湾は0.9人、ニュージーランド5人などである。オーストラリアは35人と若干多いが日本よりははるかに少ない。このところ感染者が増えているタイは11人だ。アジアで感染者や死者が少ない要因には、ファクターX説やすでに免疫があるといった説、人種説があったが、ニュージーランドやオーストラリアという白人が多い国でも感染者、死者が少ないこと、アジア人の国でも感染者や死者が多い国があることからこれらの説は説得力を失っている。厳しい社会管理を行っている独裁国家が感染を管理しているのは確かだが、台湾、ニュージーランドなど民主主義国も感染を制御している。
感染の制御、死者の抑制に成功している国は、結局、厳しい入国管理を早期に取り入れ(現在も継続)、国内では厳しいロックダウンを行なった点が共通している。日本はこの2つの対策は極めて緩やかであった。ベトナムの2020年の経済成長率2.9%は世界主要国で最も高い。感染を抑え込んだ国が経済回復も早く、中国も同様である。米国や欧州はワクチン接種が進んでから、感染者数は顕著に減少し、経済活動も再開しつつあり、GDP成長率も高まりつつある。日本はアジアの医療先進国としてワクチンを製造しアジア諸国をはじめ貧しい国に供給すべき立場だったが、中国がワクチン外交によりその役割を果たしている。国内のワクチン接種を加速化し、経済活動(とくに飲食,観光)を全面再開し、大学などでの対面授業なども再開することが喫緊の課題だ。日本のワクチン開発費は米国の100分の1以下といわれる。コロナ感染は数年間続く可能性がある。健康の安全保障のためにも国産ワクチンの開発を急ぐべきだ。