世界のリスク予測で有名なユーラシアグループによると2024年の最大のリスクはトランプの再選である。トランプは共和党に予備選で圧勝を続け共和党の候補者になるのはほぼ確実となっている。大統領選の帰趨を決める接戦州でも1州を除きトランプの支持率がバイデンを上回る。報道では2020年にバイデンを支持した若者や黒人がトランプ支持に回っている。トランプ再選というリスクは現実のものなる可能性が高くなっている。日本のメディアでいう「もしトラ」が「ほぼトラ」に変わりつつあるようだ。
トランプは、ウクライナ戦争を一日で終わらせる、EV義務化の撤廃、パリ協定再離脱などを公言しているが、貿易分野では中国からの輸入品に60%の関税をかける(今は25%)、全ての輸入品に10%の関税賦課を主張し、11月に3分野で合意したインド太平洋経済枠組(IPEF)は破棄すると発言している。14か国で交渉しまとめてきたIPEFはTPPと同様に米国が脱退してしまう可能性がでてきた。
トランプ再選は4つの裁判の行方もあり確定したわけではないが、トランプ再選の場合のシナリオを真剣に検討する時期に入ってきたのは確かである。たとえば、60%の関税をかけると中国からASEANやインドへの生産拠点の移管が加速するだろう。ASEANやインドの重要性がさらに高まるのは確実である。IPEFについてはTPP同様に日本が主導権を取って協定をまとめるべきだし、2月24日に発効したサプライチェーン協定を着実に実施すべきである。中国への影響、台湾有事など専門家諸氏の議論を期待したい。
トランプの再選を誰も阻止できないアメリカの事情があるのでしょうね。絶好調の株式市場もそこが屈折点になるのではと思います。