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中国にとって会社とは何か ファーウェイ問題から再考する

 中国のIT最大手のファーウェイは中国政府や中国共産党のために活動をしており、ファーウェイの部品などを用いると内部の情報が自動的に流出する可能性があるとして、ファーウェイの商品に対する不買運動がいくつかの国の政府機関で行われています。ファーウェイは本当に中国政府や中国共産党のための活動をしているのでしょうか。今回は、このテーマから中国にとって会社とは何なのかを考えてみましょう。



 ファーウェイは中国政府や中国共産党のための活動していたのでしょうか。それを考えるためには、まず会社と中国共産党の関係について再確認しなければなりません。中国では、中国共産党があらゆることを指導することになっています(中国憲法前文第7段落*¹)。このため、会社も当然にその指導対象となることになっています。

 そして、中国の会社法*²第19条*³は「会社内では中国共産党規則に基づき中国共産党の組織を設立し、党の活動を展開するものとする。会社は党組織の活動に必要な条件を提供しなければならない」と規定*⁴しています。このように、中国では会社内に中国共産党の支部が存在していることを前提としている条文が会社法に存在しています。では、中国では会社内にも中国共産党支部が存在しているのかというと、一つの組織内に党員が3人以上いる場合には、その組織に党組織を造らなければならないという規則があります(中国共産党規則*⁵ 第30条)。

 中国は元来社会主義国家として、中国内の全ての事業体が国有企業であるという前提がありました。そして、国有企業内の中国共産党支部が直接企業の経営に口を出すことも正当化されていました。この前提は残念ながら現在も解消されていないのです。しかも、それだけにとどまらず、2017年8月17日付の日本経済新聞によれば、中国では2017年10月17日時点で中国の上海証券取引所および深圳証券取引所に上場する計3,410社のうち430社が「会社への党の介入」を容認する定款へと変更しています。具体的には「企業内に党の中心的地位を認める」、「社内に党組織を設立する」、「重大な経営の決定事項の際は、事前に社内の党組織の意見を優先的に聞く」、「会社の経営トップは社内の党組織トップを兼務する」などの内容です。


 このように法制度上、会社に一定数の中国共産党党員がいれば、党支部を会社内部に造らなければならず、さらには会社法もそのことを予定しており、憲法でも共産党の指導があらゆる場面に及ぶことも示されています。さらには、かつて中国共産党は各国有企業の経営決定にも参加しており、2017年頃には、一定数の会社が中国共産党の影響を受けやすいような定款を作成しています。

 このように考えると中国において会社と中国共産党の関係は、中国共産党が会社を指導する立場にあり、また2017年頃から会社側もそのような指導を少なくとも形式上は望んでいるということになります。総括すると、中国において会社の立ち位置は日本の会社とは大きく異なるということです。そうすると、実際にもファーウェイが中国政府や中国共産党のための活動をしているという可能性はゼロではないということになります。


高橋 孝治(たかはし こうじ)


*¹ 1982年12月4日公布・施行、2018年3月11日最終改正・改正法施行

*² 中国語原文は「公司法」

*³ 1993年12月29日公布。1994年7月1日施行。2013年12月28日最終改正、2014年3月1日改正法施行

*⁴ 2005年10月27日改正、2006年1月1日施行前は第17条に「会社内の中国共産党基層組織の活動は、中国共産党規則により行わなければならない」と規定されていました。

*⁵ 中国語原文は「中国共産党章程」。

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