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中国における「外資利用の業務をさらに一歩進めることに関する意見」の評釈

最終更新: 3月24日

 2019年11月7日に中国の国務院(日本の「内閣」に相当)は、「外資利用の業務をさらに一歩進めることに関する意見(中国語原文は「関于進一歩做好利用外資工作的意見」)」を公布しました(国発〔2019〕23号。国務院批准日は2019年10月30日。以下「外資利用意見」といいます)。これによれば、中国での外資企業の活動可能領域がさらに拡大することになり、しかも外資企業にも公平な経営環境が整備されるとされています。この通りになるのであれば、それは中国進出をする企業にとってはいいことなのですが、現実にそのような運用がなされるのだろうかという疑問が残ります。事実、一見すると、外資企業が中国で活動しやすくなるような改革が並んでいますが、要所要所で大きな変化がないのではないかという疑義がある表現があります。ここでは、その点を踏まえて外資利用意見の評釈を行ってみようと思います。

外資利用意見で驚くべきことは、中国で何らかの通知が発布される場合には、枕詞のように使われる「憲法を遵守し」、「社会主義市場経済の健全な発展のために」といった文言が使われていないことです(もっとも、外資利用意見前文は、「19大」という中国共産党党大会の精神を全面的に貫徹という文言は用いています)。

また、外資利用意見 四、(13)には、「外商投資法およびその関連法規(を)……厳格にこれを徹底し」という規定があります。外商投資法とは、2019年3月15日に可決され、2020年1月1日から施行されている中国の新しい外資企業に関する規制法です。外商投資法は、それまでの規制とは異なり、中国内の外資企業と内資企業の平等(第4条)や公平競争などの保障(第16条)などを規定しています。しかし、外商投資法は、それと同時に……



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【資料】外資利用の業務をさらに一歩進めることに関する意見(関于進一歩做好利用外資工作的意見)日本語訳

各省、自治区、直轄市人民政府、国務院各部委、各直轄機構へ

対外開放は我が国の基本国策である。外資は我が国の経済発展の中で独特かつ重要な作用を発揮しており、現代化建設の高質量な発展と推進には終始外資を高度に重視し利用することが必須なのである。目下、国際投資の方法は、大きく変化しており、我が国の外資利用は新たな状況、特徴、課題に直面している。習近平の新時代の中国の特色ある社会主義を徹底し深化させるためには、全面的に党の十九大および十九大二中、三中、四中全会の精神を全面的に貫徹し、「五味一体」の体制を調整し、「四つの全面」の戦略を調整し、党中央、国務院の意思決定と外資業務の安定化の展開、市場活力と投資に対する信頼を刺激することを出発点として、外資企業の国内待遇の確保に焦点を当てて、開かれて透明性があり予測可能な外資投資環境の整備、「サービスの地方分権化」の改革を引き続き行い、外資の活用に努め、外資の規模を安定させ、外資の構造を最適化するため、以下の意見を出すものとする。

一、対外開放の深化

(1)外商投資に新しい領域を開放することの支持。継続して全国と自由貿易試験区で外商投資における禁止事項を減らすようにし、禁止事項として制限されていないものを全面的にそのままの措置とするようにし、開放的措置を有効に実施することを補償し、開放のレベルを引き続き引き上げることを……



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<執筆者紹介>

高橋孝治(たかはし こうじ)/環太平洋アジア交流協会研究員・立教大学アジア地域研究所特任研究員

中国政法大学博士課程修了(法学博士)。法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格)。中国法に関する研究や執筆、講演の傍ら、複数の法律事務所や団体にて中国法顧問を務める。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』(労働調査会、2015年)。『中国年鑑2019』(共著、明石書店、2019年)ほか多数。「月曜から夜ふかし」(2015年10月26日放送分)では中国商標法についてコメントした。「高橋孝治の中国法教室」を『時事速報(中華版)』(時事通信社)にて連載中。


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