トランプ大統領が導入した追加関税トランプ関税と呼ばれているが、対中関税とその他の国に対する関税は性格が違うことをみておくべきである。貿易赤字の削減という点では共通しているが、対中関税は中国との競争戦略に基づており国家安全保障の要素が強いのである。中国以外の国に対する関税は状況(相手国の関税削減や米国からの輸入増加など、あるいは米国内のインフレ進行とトランプ支持率の低下)により削減や撤廃の可能性があるが、中国に対しては多少の削減はあっても大幅削減や撤廃はないであろう。中国の長期的な強国化戦略に対抗する「競争戦略」に基づいているからである。相互関税など追加関税の性格と狙いを冷静に判断して対応すべきである。ASEANに対する関税は削減の可能性があるが、中国に対する関税は高いレベルが続く可能性が強いと認識する必要がある。
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